“もったいない”から生まれたおいしさ。未活用ハーブを使った「フレッシュハーブティー」開発の軌跡

こんにちは。SPICE&HERB COMMUNITY事務局です。
エスビー食品では、健康で幸せな暮らしと地球環境への貢献を実現するため、アップサイクル(商品の製造、原料調達、栽培などの段階で発生する残渣や余剰資源の利活用をする取り組み)商品の開発に力を入れています。第1弾の「本鶏だし」に続き、2025年6月に誕生したのは「フレッシュハーブティー レモングラス&ミント」。契約農家さんで栽培されたハーブのなかに、形が不揃いなどの理由でこれまで十分に活用されてこなかったフレッシュハーブがあり、「もったいない」という想いから生まれた商品です。
今回お話を聞いたのは、商品開発のきっかけとなったハーブ事業部 ハーブ供給ユニットの竹井亨さん。商品化の経緯から、ハーブ事業部の仕事内容、産地への想いまで幅広く語っていただきました。
<プロフィール>

ハーブ事業部 ハーブ供給ユニット
スペシャリスト 竹井亨(たけい・とおる)さん
幼い頃から植物の栽培に興味をもち、大学で園芸学を学んだのち、1995年にエスビー食品に入社。中央研究所でフレッシュハーブ栽培の研究や香辛料の産地開発に関わったほか、現ハーブ事業部では生産管理をはじめ、優良品種や病虫害防除の研究を行うなど入社以来、一貫して農業分野に携わる。
フレッシュハーブの安定供給がハーブ事業部のミッション
フレッシュハーブの生産から商品の企画、物流、販売など一連の業務を担うハーブ事業部。部署内は「ハーブ営業ユニット」と「ハーブ供給ユニット」の2チームに分かれています。このうち竹井さんが所属するハーブ供給ユニットでは、契約農家さんと連携してフレッシュハーブの栽培を行うだけでなく、新商品の開発や、物流配送網の整備など、フレッシュハーブ商品に関する業務全般を担当しています。
竹井さん「ハーブ事業部のミッションは、“高品質なハーブの安定的な供給”です。ハーブ供給ユニットではこのミッションを達成するため、全国約40カ所の生産地と契約栽培を行っています。各産地では、生産計画に基づき安定的に供給できるように生産します。それを実現できるように推進するのが、私たちの主な業務です」

エスビー食品では、新鮮なハーブを安定して供給するために、北海道から沖縄まで季節によって産地をつないでいく「リレー生産」の体制を築いています。しかし、自然や生き物を相手にする農業は、計画通りに進まないことも往々にしてあります。例えば、気象条件の変化で生育が遅れたり、台風や大雨で被害を受けたり……。その度にハーブ供給ユニットでは、契約農家さんと連携しながら対策を考え、二人三脚でトラブルを乗り越えています。
竹井さん「トラブルが起きた際は、まず正確な状況把握が大切です。現地を訪れて問題のあった作物を直接見るだけでなく、生産体制や管理状況などを聞いて原因を探ります。日々のトラブル対応とは別に、そもそも問題が起きないよう事前に対策する“予防”の取り組みも重要です。種苗メーカーや契約農家さんの協力を得ながら、病気にかかりにくい品種を研究するなど、さまざまな取り組みを行っています」
生産されたフレッシュハーブの一部は自社ブランドの原料として使用されますが、多くはスーパーや市場を通じて一般のお客さまや飲食店、さらには加工食品会社や香料メーカーなどに届けられます。幅広い分野で利用される一方で、お客さまからの要望も多様化しており、細かなニーズに応える取り組みも必要です。
竹井さん「自社の圃場で栽培しているのではなく、契約栽培で生産を進めているので、契約農家さんの協力が必要不可欠です。例えば販売数を増やしたいという要望があっても、契約農家さんの状況によっては対応が難しい場合もあります。こちらの要望を一方的に押し付けるのではなく、それぞれの契約農家さんの事情を丁寧に聞きながら、産地と当社双方にとって持続可能な取り組みにしていくことが大切だと考えています」
“未活用分を活かせないか”という一言が商品化のきっかけに
フレッシュハーブのような葉物は貯蔵性が低いため、在庫管理が難しいという側面があります。さらに、クリスマスや母の日といったイベントシーズンや、フレッシュハーブを生産する(当社契約産地以外の)ほかの産地でトラブルが起き、減産が生じた際には、一気に需要が高まることも。こうした状況に対応するため、ハーブ供給ユニットでは生産量を一定の割合でキープし、変動する需要にいつでも応えられる体制を整えています。
竹井さん「どんなにおいしい作物でも、年間を通して安定的に供給できなければ、なかなか市場には定着しません。当社では、需要に合わせた供給体制の構築を目指していますが、そうすると需要が高くない時期は産地で出荷されないフレッシュハーブが多く生じてしまいます。『せっかく質の良いハーブなのにもったいない』『何かに活かせないだろうか』――そんな想いを商品企画担当に伝えたことがきっかけで、今回の商品化につながりました」

しかし余ったフレッシュハーブを使うとなると、原料の調達量がどうしても不安定になってしまいます。また、未活用のハーブが発生する時期と工場の生産稼働タイミングを合わせる必要がある、産地の人手不足といった課題もありました。そこで商品化にあたって最良の方法を見極めるため、現地の状況を知ることが必須と考え、商品企画の担当者と、素材の研究を行う中央研究所の社員もまた実際に産地を訪れ、現地の状況を確認しました。
竹井さん「作物は天気や気温の変化などに大きく左右されます。例えば、同じ量のハーブを収穫する場合でも、生育状況が悪いときは、良いときの何倍もの時間、労力がかかります。企画担当者や開発担当者が現場を直接見ることでフレッシュハーブへの理解が深まり、より良い商品づくりにつながったと感じています。また、少しでも契約農家さんの力になりたいと思い、企画・開発担当者とともに実際に収穫作業にも参加しました。直接対話を重ね、作業を共にするなかで、商品化への私たちの熱意が少しでも契約農家さんに伝わっていたらうれしいです」

ペットボトル飲料とは思えない、驚きのみずみずしさ
余ったフレッシュハーブの有効活用といえど、おいしさと安全性はエスビー食品として譲れない部分です。「フレッシュハーブティー レモングラス&ミント」の原料となるフレッシュハーブは、独自の原料規格をクリアしたものだけを使用しています。
竹井さん「未活用のフレッシュハーブをすべて商品の原料として採用できるわけではありません。例えば、葉のない茎の部分は使えないなど、当社ならではの基準があります。原料規格に適したハーブが採れる時期は、思いのほか限られていましたが、品質にこだわったことでフレッシュハーブのおいしさを最大限に引き出せる商品になったと思います」

「フレッシュハーブティー レモングラス&ミント」は、レモングラスとスペアミント、そしてビタミンCというシンプルな原材料で作られています。余計なものが入っていないからこそ、原料となるフレッシュハーブの鮮度が何より重要です。そのため、契約農家さんの生産体制や作物の状態を常に把握し、収穫後の鮮度管理も徹底しています。
竹井さん「未活用のフレッシュハーブが出やすい時期が、ちょうどハーブの旬と重なっていたことも、おいしさを底上げしてくれたように思います。ひと口飲むと、まるで淹れたてのハーブティーのような爽やかさを感じていただけると思います。ペットボトル飲料とは思えない驚きのある商品なので、ぜひ多くの方々に味わってほしいです」

「フレッシュハーブティー レモングラス&ミント」は、2025年6月17日から通販限定で販売をスタートしました。エスビー食品公式通販サイトで購入できるので、SPICE&HERB COMMUNITYメンバーの皆さんもぜひチェックしてみてください。
竹井さん「これまでハーブ事業部の商品を当社パスタソースの原料として用いたことはありましたが、“フレッシュハーブそのものを活かす”という視点で商品化につながったのは、今回が初めてです。商品化できたことで、契約農家さんもとても喜んでくださいました。やはり作物の作り手自身が『やってよかった』と思えることがなければ、事業は成長し続けられないなとあらためて実感しました。売上や利益だけでなく、事業に関わる全ての人々がやりがいをもって取り組めるような関係性を、これからも大切に育んでいきたいですね」

これからも契約農家さんの良きパートナーであるために
「エスビー食品にとって契約農家さんは喜怒哀楽を共有できるパートナー」と話してくれた竹井さん。契約農家さんにとってもエスビー食品が信頼できるパートナーであると思ってもらえるよう、ハーブ供給ユニットのメンバーは日々勉強に励み、いざという時に力になれる体制を整えています。竹井さんも土壌医や施肥技術マスターの資格を取得し、知識を磨いているそうです。
竹井さん「2014年頃、日本で初めて『バジルべと病(カビが発生して生育不良を起こす病気)』が発生し、全国に広がりました。バジルがほぼ全滅し、2〜3年はまともに栽培できない状態になったのです。まずは農薬登録申請(バジルで使える農薬を登録する)をするために病名を定める必要があったので、国の研究機関(農研機構 花き研究所)に働きかけ植物病理学会にて『バジルべと病』という病名をつけてもらいました。次に、自治体や各農薬メーカーなどと連携して農薬登録申請を進めました。やっと安定的に生産できるようになったのは2020年頃です。作物を安定的に生産するのはそれだけ難しいということ。だからこそ、契約農家さんがこうしたトラブルに直面したときに、的確なサポートができるよう、エスビー食品としても日々ノウハウを蓄えていきたいですね」

農業を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、気候変動や人手不足、生産者の高齢化などさまざまな問題が絡み合っています。エスビー食品では、国内外の産地が抱える問題に少しでも役立てるよう、人的・物的な支援を強化しています。これまでも、和歌山の山椒農家で社員が収穫支援を行ったり、海外の産地に物資を提供してサポートしたりと、さまざまな取り組みを行ってきました。
竹井さん「今後もスパイスとハーブが安定して生産できるよう、産地を支援することは食品メーカーとしての使命だと思っています。一つひとつは小さい活動かもしれませんが、今できることをそれぞれの部署が考え、継続的に取り組むことが大切です。
そのなかでもハーブ事業部は、“農業に携わる人々との共通言語をもっている部署”として存在意義があると思っています。農業ならではの課題や、生産者のニーズを理解できることは、今後、別の作物を育てている農家さんや海外の産地が抱える課題解決にもきっと役立てられるはずです」

エスビー食品はこれからも持続可能な未来に向けて、アップサイクル商品の開発をはじめとしたさまざまな取り組みを続けていきます。
アップサイクル商品の第1弾として販売した「本鶏だし」は、鶏肉の加工時に活用し切れていなかった国産親鶏をたっぷり使用した本格的な味わいが特徴です。現在、エスビー食品公式通販サイトで販売中で、多くの方にご好評いただいています。ぜひチェックしてみてください。

■竹井さんから、SPICE&HERB COMMUNITYメンバーへの質問
質問というよりお願いになりますが、ぜひ契約農家さんに応援メッセージをいただけるとうれしいです。
竹井さん「エスビー食品が間に入っている分、契約農家さんにはお客さまの声が直接届きづらい側面もあります。そこで日々、ハーブづくりに励んでいる契約農家さんへ前向きなメッセージをいただけないでしょうか」
また、ぜひこの機会にスーパーなどで販売されているフレッシュハーブにも注目してみてくださいね。「フレッシュハーブティー レモングラス&ミント」の感想もお待ちしています!
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投稿を表示もったいないからのアップサイクル商品良いですね👍素敵です!
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投稿を表示作り手の苦労が分かるからこそ
資源を無駄なく使う取り組みが
とっても素敵です。
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投稿を表示フレッシュハーブティー、大大大好きです!!!!!
趣旨にも賛同します。
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投稿を表示素敵な取り組みだと思います🩷
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投稿を表示個人的にすごく好きな商品です。
飲みやすくて美味しいからです。
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投稿を表示もったいないものを、美味しいものに変えて素晴らしいです👏
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投稿を表示本当に「もったいない」の取り組み大事ですね。(o^―^o)ニコ
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投稿を表示素晴らしい活動です。応援します。
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投稿を表示凄くいい取り組みだと思いました
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投稿を表示無駄を出さないアップサイクル商品大歓迎です