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有機スパイス「ORGANIC SPICE」シリーズがリニューアル! スパイス調達担当者の新しい挑戦

こんにちは。SPICE&HERB COMMUNITY事務局です。

エスビー食品では2024年9月から、リニューアルした「ORGANIC SPICE」シリーズを発売。「ORGANIC SPICE」シリーズはお客様の安全・安心だけでなく、環境に配慮し、有機JAS認定スパイスだけでラインアップした洋風スパイス​​のブランド。今回のリニューアルでは、生産者との公平・公正な貿易を目指す国際フェアトレード認証を受けた商品を拡大したのもポイントです。

今回のリニューアルには、生産者とコミュニケーションを取りながら原料を調達する、スパイス調達担当者の存在がとても重要でした。「安全なスパイスを安定的にお届けするために、日々奮闘しています」と話してくれたのは、開発生産グループ スパイスコントロール室リーダーの松澤 志寿さん。日々の業務内容やフェアトレード商品への想いなどを聞きました。

<プロフィール>

エスビー食品 開発生産グループ スパイスコントロール室
リーダー 松澤 志寿(まつざわ・しず)さん
素材系メーカーで原料調達の業務経験を経て、2021年にエスビー食品に入社。前職での経験を活かし、現部署ではスパイスの原料調達担当として活躍。パセリやサフランなど30種のスパイス原料を担当し、サプライヤー​​(※1)との交渉や品質チェックなどの業務を行う。

※1 サプライヤー…原料を製造する現地メーカーのこと。現地生産者や自社で保有する農場から香辛料作物を仕入れて加工し、原料を製造・販売する。
 

業務は生産者とのやり取りから調達方針の立案・実行​​、品質のチェックまで

エスビー食品は国内だけでなく、海外の各地からも原料を調達しています。スパイスコントロール室リーダーである松澤さんの仕事は、海外のサプライヤーとのコミュニケーションや原料の管理、新規産地の開拓など。原料調達の担当者には、スパイスやハーブを使った商品を安定的に販売できるよう、原料を滞りなく調達することが求められます。サプライヤーから提供される生産量などのデータをもとに季節ごとの傾向を把握し、安定的に原料を調達できるよう調整を行っています。

購入量の調整や価格交渉など、サプライヤーとのやり取りは主にメールで行いますが、四半期に一度は海外出張で各産地を訪問し、直接会話することも大切にしています。

松澤さん「海外出張時の仕事内容は主に3つ。まずは産地に足を運び、農家の方々に直接お会いして、生産状況を把握します。2つ目はメーカーの工場の視察です。収穫したスパイスやハーブがどのように加工されているかなど、作業の様子を確認します。そして、もっとも重要なのがサプライヤーとのミーティングです。在庫や消費量などをもとに購入計画を立て、窓口となる担当者とやり取りを行います」

母国語が異なる相手とのコミュニケーションは気を遣う部分が多く、英語でのやり取りは「こちらの意図が誤解なく伝わるかを一番に考えている」と言います。

松澤さん「品質面での課題があるときは、率直に改善点を伝えると同時に、具体的な改善方法も提案するようにしています。その際は、現地でも対応できそうな改善方法を提案する必要があるので、定期的な現地訪問による状況把握は欠かせません。たとえば、工場の掃除はブラシで行うと毛が抜けて原料に混入する恐れがあるので、エアーダスターを使ってほしい、とか。小さい配慮ではありますが、そういった日々の細やかなコミュニケーションの積み重ねが信頼関係を築くことにつながっていると思います」

さらに、海外から届いた原料の品質チェックも松澤さんの仕事。有機栽培された原料の場合は、分析機関に調査を依頼し、有機JAS認証(※2)の基準を満たしているか念入りにチェックします。

※2 有機JAS認証…農林水産省が定めた有機JAS規格に基づいて有機栽培されたものであることの証。認証を受けた商品のみが「有機」「オーガニック」と表記することができる。
 

生産者とお互い信頼し合える、より良い関係性を築きたい

 有機スパイスは、健康や食に対する安全・安心への意識の高まりから需要が高まっています。このニーズに応えるため「ORGANIC SPICE」シリーズは、環境負荷の少ない仕様を目指して、パッケージを含めたリニューアルを行いました。2024年9月からは、クミンシードやコリアンダーパウダー、ヒハツパウダーなどがラインアップに追加。さらに国際​​フェアトレード認証商品も拡充され、従来のブラックペッパーやシナモンなどに、新しくバジルやナツメッグなどが加わり、​​じつに全品目の44%にあたる29品が国際​​フェアトレード認証商品となりました。

リニューアルされた「ORGANIC SPICEシリーズ」は全66種に拡大。瓶の中栓にバイオプラスチックを採用、材料の一部にリサイクル材を使用するなど、環境を考えた仕様に。

エスビー食品では、香辛料をはじめとする基幹原料において、持続可能な調達に関するコミットメントを制定し、2030年度を目標とした取組みを進めています。香辛料においては、フェアトレードや有機認証香辛料の調達や契約栽培の拡大への取組みもそのひとつです。この目標を達成するには、松澤さんはじめ調達担当者の力が欠かせません。

松澤さん「『ORGANIC SPICE』シリーズの原料調達においては、サプライヤーがどのような暮らしをしているかも確認しています。有機JAS認証だけでなく、国際フェアトレード認証の基準も満たすためには、チェックすべき項目がたくさんあるため、まずは信頼できる生産者を探すことが最優先。日本の食品安全の基準をどれほど理解してもらえるかが、サプライヤーの選定ポイントとなります」

サプライヤーと良好な信頼関係を築き、持続可能な原料の調達を目指すため、近年はサプライヤーに対し、従業員の労働環境や衛生面などに関するアンケートなどを実施。実態の把握と、生産者をはじめとしたさまざまなステークホルダーと協業した人権配慮の取組みも進めています。

松澤さん「天候不順などで収穫量が想定よりも少ないとき、サプライヤーは取引先に限られた原料をどう分配するか頭を悩ませます。そんな状況でも、エスビー食品が安定して原料を調達し、お客様に商品をお届けできているのは、普段からサプライヤーと良好な関係性を築けているから。私が現在担当しているサプライヤーのなかには、前任者の名前を覚えていて『〇〇さんは元気?』と数年経っても気にかけてくださる方もいます。先輩方が良い形で築いてくれた関係性を、私たちが責任をもって引き継いでいかなければいけないと思っています」
 

国際フェアトレード認証商品の拡大が、生産国の豊かさにもつながっていく

フェアトレード原料の産出国は、発展途上国と呼ばれる国々が認証の対象になっています。特にオーガニック先進国で、フェアトレードへの意識も高いスリランカは、エスビー食品にとって主要取引先のひとつ。しかし、スリランカは新型コロナウイルス感染症の流行によって外貨の確保が難しくなり、2022年4月に経済破綻に陥りました。エスビー食品にとっても原料の輸入に苦労した時期でしたが、生産者はそれ以上に輸出ができないことで収入を得られず非常に厳しい状況でした。

松澤さん「その際、エスビー食品として微力ながら食料品の寄付を行いました。寄付を喜んでいただけたことはもちろん嬉しかったですが、産地の現状や、厳しい状況にも関わらず前向きに取り組んでいる生産者の方々を知れたことは非常に貴重な経験でしたね。フェアトレードの仕組みがどれほど生産者の生活や環境、意欲向上につながっているかを実感でき、フェアトレードの意義を強く感じられた瞬間でした」

国際フェアトレード認証では、適正な価格での継続的な取引、児童労働の禁止、環境に優しい生産などに加え、生産地域の社会発展を支える資金「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」の支払いが基準として定められています。フェアトレードは、生産者が良質な商品を作り続けていくための労働環境と生活水準の向上、自然環境の保護などをサポートする「持続可能な生産と取引のしくみ」です。フェアトレードの拡大は、生産者が自らの力で地域社会や生産環境を改善し、持続可能な未来を切り開くことにもつながります。

現地の皆さまと記念撮影

松澤さん「生産者の方から直接、スパイスの使い方や食べ方を教えてもらえるなど、現地に行くからこそ得られる情報もたくさんあります。親交を深めた​​生産者さんのご自宅へ招かれて、手料理を振る舞ってもらったことも。こうして得た産地のリアルな情報を社内外に発信し、製品化の道筋を作ることも原料調達の役割のひとつであると感じています。現在販売されているスパイスやハーブの安定的な提供を第一に考えつつ、新たな原料の発掘にも積極的に取り組んでいきたいですね」
 

これまで難しかった原料を国際フェアトレード認証へ。原料調達への新しい挑戦

 今回リニューアル発売される「ORGANIC SPICE」シリーズでは、新しい挑戦もありました。輸入時の制限が厳しく、これまで認証を受けた原料として購入できていなかったスパイスを、新たに追加することに成功したのです。

松澤さん「需要の高いスパイスだと分かっていたので、何とかラインアップに追加できないかと考えました。自分が担当しているサプライヤーからご協力いただき、新しい購入方法を提案して実現へと至りました。私はエスビー食品に入る前はまったく別の分野で原料の調達に携わっていたので、食品業界を詳しく知らないがゆえにできた提案だと思っています。新しい試みだったので社内からは心配の声もありましたが、生産者さんから生産方法についてのデータを提供してもらうなど、たくさんのご協力をいただけたおかげで無事に実現できました」

今回のリニューアルは、これからも新しい取組みを行うパートナーとしての大きな一歩になりました。これをきっかけに、今後さらに国際フェアトレード認証の原料が広がっていくことでしょう。

松澤さん「食品メーカーの原料調達の仕事は、自分が関わった原料が実際に店頭に並び、消費者の手に届くのを実感できることが魅力です。友人や知人から『このスパイス使ったよ!』と声をかけてもらえるのが何より嬉しいし、やりがいを感じます。ぜひCOMMUNITYメンバーの皆さんも、この機会に『ORGANIC SPICEシリーズ』を手に取ってみてください!」

ゆくゆくは全商品の国際フェアトレード認証を目指す「ORGANIC SPICEシリーズ」。10月にはブランドサイトが公開されました! サイトでは、持続可能な環境と社会を実現するためのこだわりや、具体的な取組み内容について詳しく紹介しています。使う人・作る人の安全・安心、そして地球環境に配慮したシリーズの魅力を、ぜひサイトでもチェックしてみてください。 

「ORGANIC SPICEシリーズ」ブランドページ

ブランドサイトはこちら

 
松澤さんから、SPICE&HERB COMMUNITYメンバーへの質問

まだ使ったことはないけど、新たに使ってみたいスパイスやハーブはありますか? ぜひ教えてください!

「COMMUNITYメンバーの皆さんが使ってみたいスパイスやハーブが『ORGANIC SPICE』シリーズにあれば、ぜひチャレンジしてみてほしいですね。まだラインアップにない種類だったら、今後の新規開拓の参考にさせていただきます!」と松澤さん。ちなみに松澤さんが気になっているのは、今回から国際フェアトレード認証を取得したレモングラス! 現地で実際に栽培されているのを見て興味が湧き、エスニックカレーに使ってみたいとのこと。

皆さんのご回答もお待ちしております!

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38 件の返信 (新着順)
つぎもっさん
2025/02/28 05:13

素敵な取り組みですね。
スパイスもいつも使っている物より香りも味も良さそうです!!

ぽんで
2025/02/18 23:27

多種多様なスパイスをたくさん仕入れて私たちの食卓を豊かにしてくださいね

ローマ人
2025/01/18 09:03

フェアトレードは、私の周りではコーヒーやパーム油で聞いていましたが、スパイスでも取り組まれているのですね。素敵な取組みだと思います!

Hina
2025/01/12 10:36

フェアトレード認証商品の拡大が、生産国の豊かさにもつながっていくことを
考えて、購入したいと思います!


ぽんで
2025/02/18 23:28

素晴らしい心掛けだと思います

Tnmr
2024/12/11 06:21

世界を股にかけてご活躍される姿、とても輝かしいです。

まろ
2024/11/28 16:58

オーガニックスパイス気になります!

むっちゃん
2024/11/26 22:44

フェアトレードなんですね
スパイスは輸入時の制限厳しそうですね


Tnmr
2024/12/11 06:24

食品検疫とかも、ありますもんね

みく
2024/10/28 21:54

オーガニックスパイス手に入れましたので色々活用していきたいと思います。

つぎもっさん
2024/10/27 07:31

使わさせております。でした!
日本語は難しい!

つぎもっさん
2024/10/27 07:28

オーガニックスパイス、使わせております。
お仕事、頑張って下さい。